妄想が現実になるかもしれないと思うと、簡単には浮かばない。 考え込みながらふと前を見ると、もう曽田くんの姿はなかった。 「歩くの早いなー」 できればもっと長く曽田くんと話したかった。 駅に着き、改札を通りながら、永実は頭に浮かべた。 曽田くんとまた偶然会って、今度はもっと長く話せたら幸せだろうなー。 「あれ、井上」 「曽田くん」 心臓がドキリとする。 エスカレターを上ってホームに立つと、その目の前に曽田くんが立っていた。