……足が速かっただけよね、きっと。 得たいの知れない不気味な気持ちが胸に巣食う。 この気持ちをごまかしたいような衝動にかられた莉乃は、 気持ちを切り替えるために大好きなかき氷のいちご味を買った。 甘くて、冷たくて、一人でも楽しい気分になる。 食べながら公園を出て、数歩。 莉乃はふと立ち止まった。 でも、有紗ちゃんって走るの遅かったよね。 細くて速そうな見た目なのに、運動音痴でクラスでビリだった。 それを思い出し、背筋が冷える。