「あー楽しかった!」 ひとしきり泳いだ莉乃と有紗はタオルでぬれた髪の毛を拭きながら、 市営プールの建物を出た。 「あ、ねえ、有紗ちゃん。かき氷食べない?」 市営プールを出てすぐのところにはかき氷の屋台が出ていて、 泳いだあとにかき氷を食べるのが毎年の定番だった。 これをすると夏が来たな、と感じる。 「ごめん、わたしもう帰らなきゃ」 「え、そうなの?」 有紗が顔の前で手を合わせて、ごめんねのポーズをする。 何か用事があるのだろうか。