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ところで謹慎とは一体なんだったのか


二週間の期限で以前から実態が謎だった少人数編成の寮に飛ばされたかと思えば

今なんて湯船に浸かっていたところを、タイミングを見計らっていたらしい仲良くもない男子5人に囲まれている



相生深一はこの状況を心底憂いながら、魔術科の同級生である火野ライの話を聞いていた



「反省の色も見えなければ、反発も見せない。自分がしたことに無関心。むしろ俺こんなことしましたって、そう言っとけば俺らが気持ち悪がって近づかなくなるんじゃないかって魂胆まで見える。大人しくして全てがこのままやり過ごせればそれでいい、そう思ってんじゃないのか」



「.....へぇ、推理?」



____陳腐な推理



「間違ってるなら言えよ」


「.....いや.....いいんじゃねぇ?」


鼻で笑って素直に肯定するような反応を見せた自分に対して、火野ライは眉をひそめて明らかな嫌悪感を示す


この人とは学科も異なり今までに関わりはなかったが、顔も良くて成績優秀 、散々周りからチヤホヤされている学校の有名人であろう男が、俺に感情を動かされている

そんな状況に驚いた




____でもなんだって?


横にいる伊吹然り、ここの寮母を心配してこんな事をするなんて


一体何を考えているのだろう



ここの同級生の寮母は可愛いか可愛くないかと言われると、可愛くないなんてことは無いかもしれないけれど、なんせ地味だし

少し一緒にいただけで寮母として優秀であることは分かったがそれ以外は特に目立たない



勉強ができるなんて噂も聞いたことはない

まして(火野と伊吹のことは知らないが)去年同じクラスだった布川なんかは成績オバケで、小高や市河だって頭が良かった

きっとあの寮母よりもはるかに




寮母をやっていなければそこらへんの女子に埋もれていたであろう女のことで、こんなにもこの5人が騒ぐ



それがあまり腑に落ちないのだ