生徒だけど寮母やります!3

「なんでなん」


「パンを作ってる生徒が違うからね」


景は端的に質問に答えると、店の奥にあるパン工房の方を見つめた



そもそもこのパン屋、経営しているのはこの学校の生徒だ


魔術棟と妖術棟の中央に位置する吹き抜けをグルリと囲むように、
パン屋以外にも多くの生徒経営の店が軒を連ねている



「だからさ、去年スカスカチョコパンに魔法を吹き込んでいた人は、今はもうこの店にはいないのよ」


「卒業したん?」


「さあ.....もしくは、受験に専念するために辞めたか」


「ふうん」


「経営だけじゃなくて、バイトとかいろんな生徒が関わってるから、その分バラエティに富んだパンが日々生み出される。それがいいとことろだよね」


「なるほど.....」




鈴菜は顎に手を当てて少し沈黙した後、ぽつりと呟いた




「じゃあさ、あいつら(妖術科)の旅費、稼ぐか」