「壺屋さんは本当にクラス想いだね」


月沼の能天気でズレた発言が場を凍らせたところで、教室の後方がなにやら賑やかになったため一同は何事かとそちらに注目した




「すげー!署名貰えてんじゃんお前!」

「誰もくれねーと思ったよ」

「誰が貰ったって!?」



クラスメートたちの発言内容に、景は目を丸くする



.......妖術科の子が......署名をくれた?



「誰が貰って、誰がくれたんやろ。てっきり妖術科は断固拒否するかと思ってたけど、それって一部の生徒やったんかな」

「国内旅行の方が好きな人もいるかもしれないわね」


有姫が鈴菜の発言に頷いたところで、一同はさらに驚愕する




「「「「「!!!???」」」」」



複数人に囲まれて、嬉しそうに妖術科からの署名を見せびらかす生徒


それは潮見トオルであった




「今背筋がぞわっとした」

ライがそう零すのと同時、彼はこちらの視線に気がつき嬉しそうな顔で歩いてくる




「「「「「!!!!」」」」」



「やあ君たち。妖術科の人って意外と優しいんだね。僕に署名をくれたのは、笠上さんのところの......布川くんって人。よかった、コレで僕の修学旅行はアメリカだ」



「「「「「..................」」」」」



「どーーーしても行きたかったからねぇ、MAに.....!!僕はコレを教師に渡してくるよ、じゃあね」



プリントをひらひらと振りながら教室を出て行く潮見の背中を見ながら

あまりに唐突で急激な展開に、景をはじめ全員は言葉を失う



「あの人......知ってたけど本当にただのサイコパスね」

ドン引きする有姫に続いて


「なにやってんだよ咲夜」

ライがドン引きしながら手で顔を覆う




咲夜......


優しいから断れなかったんだうな......




果たしてこの展開は彼の望む方へと進んでいるのだろうか


景は横で苦笑いする結斗の顔を伺った