* * * *
「結斗先輩いますよね!?!?出てきてください!!」
ドンドンドンドンドン
千冬は男子寮Bに到着するや否や景の手首を掴んだまま2階へと駆け上がり、結斗の部屋の扉を激しく叩く
妖術科2年生の男たちは男子寮Bに入ってはならないという決まりはないものの、大人しく玄関前で待機中だ
先に帰宅していたルークが「お茶でも飲んで行きますカ」と尋ねていたが、ドギマギしながら遠慮していた
ドンドンドンドンドン
「結斗先輩!!ゆ.......あっ」
すると思いの外、すんなりと扉が開き
部屋の中から結斗が登場する
何が何でも部屋から出ない結末まで想定していただけに、千冬は先ほどまでの勢いをなくし、目を丸くして結斗を見つめた
「もー、千冬君にこんなに求められちゃ、出て来ないわけにいかないよね。あ、景ちゃんもいたの?もしかして呼んでくれてた?気付かなかったよ、嬉しいな」
「寮母さんは別に呼んでません。それより妖術科の先輩たちが会いたがってますよ。予想はついてるんでしょう。玄関まで来てるんで、話してきてください」
千冬に説得され、結斗は「えー」と渋りながら苦笑いする
「分かったよ......」
とはいえ部屋着姿ではなく、しっかりとヘアセットをしてコーディネートされた服装を着用していたことから、この流れは本人も予想済みであったことがよく分かる
部屋に引きこもるつもりなら、黒縁メガネにスウェット姿でパソコンと睨めっこしてるはずだ
景は階段を降りていく結斗の出方を伺うことにした


