十人の住人

17歳 秋始め①

自分が自分じゃないと自覚して
始めての登校。

怖かった。

いままで私はどんな風に
クラスメイトと挨拶をしてたっけ…
いままで私はどんな風に
友達と笑ってたっけ…

ただ、怖かった。

「おはよ~」

いつものテンションで彩矢が挨拶してきた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう…

「あれ?なんか体調悪い?
もしかしてモモ、女の子の日?」

いつも通りじゃない私に
いつも通りに接してくれる友達。
暖かかった。

「あのね、彩矢。
私、私じゃないかも。」

一瞬キョトンとしたがすぐにニコッと笑って

「どんな桃も桃だよ?」

と返してくれた。
私は泣きそうになるところを堪えて
自分で踏ん張って
夏休みにあったことを話した。