赤ん坊は泣いてはいなかった。
俺はここに連れてきて初めて自分がやったことについて気づいた。

今あの夫婦がベビーカーのところに行っていたとしたらどうだろう。

俺は完璧な誘拐犯だ。
しかし俺は自分でも驚くほど焦ってはいなかった。

開けっ放しのカーテンからは一つだけ一際輝く一番星が夜空に目立っていた。

「お前の名前は宇宙(そら)にしようか。」

不思議なぐらい俺は素直にこの状況を認めた。今から行けば間に合うかもしれない。でも俺はもう決めた

この子は俺の子だと、これからは俺がこの子を…宇宙を育てていくのだと…そう決めた