「パパ!祐介君すごいんだ!こんなに綺麗に作れるの!」
少し気まづい雰囲気のなか笑顔でこちらに走ってくるのは宇宙だ。
「見ろよ、これママが買ってくれたんだ」
そうやって祐介が宇宙に見せていたのはいわゆるスノーボールメーカーという雪を詰めて固めるおもちゃのようなものだ。
「ママ……ねぇパパ。なんで僕にはママがいないの?」
明らかに祐介の母親はやばいと察知したのかあたふたしていた。それがなんだか面白い。
ほぼ初めて他人と関わり母親という存在を知った宇宙はなぜ自分にはいないのかを不自然に思った。
いつか聞かれると思っていたが、聞かれた時は切ない気持ちになるのかと思っていたけど、実際はなんにも感じなかった。