いつぶりのお酒だろうか。
宇宙と暮らし始めてからお酒なんてほとんど飲んでいなかった。
仕事が決まって母親が宇宙の面倒を見ている時、歓迎会で1杯飲んだくらいだ。
「何故宇宙を幼稚園に連れていかなかったんだ」
父親はテレビの音を最小限に抑え、俺に目を向けずに話しかけた。
「お金がなかったんだよ」
「親に相談するとか考えなかったのか」
「宇宙に関しての教育費は全て俺が負担することになってるんだ。」
ビールを開けて立ったまま1口ビールを含んだ。久しぶりに飲んだビールは苦さしか感じず、不快感に包まれた。
「これからはちゃんと俺たちを頼れ」
母親は洗濯物を畳みながらうんうん、と必死に頷く。
「わかった…」
素っ気なく返事したはずなのに母親と父親は満足気…そんな両親を少し気に食わない俺は
不味く感じるビールを飲み干して吐き気を抑えながらも、宇宙が寝ている部屋に向かい宇宙の隣で眠った。