119がすぐに押せなかった。
病院に行くのが怖かった。
俺は119を押さずに近くにある小さな小児科に連れていくことにした。

「宇宙!大丈夫か?しっかりしてくれ」

宇宙に毛布をかけて抱き抱え、スーツのまま外を飛び出し車に乗り込む。

シートベルトをせずに俺は車を走らせた。1秒でも早く、早く早く早く!!!

宇宙は唸るだけで目を覚まさない。
頼む、頼む…死なないでくれ…

小児科に入ると俺は「息子を今すぐ見てくれ」と叫び崩れた。

俺は自分が泣いていることに気がついた。
伝っている涙は冷たくなった頬のせいで何も感じなかった。

幸い他に誰もいなく宇宙の受診はすぐに行われた。

俺は宇宙の熱くなった手を掴みただただ祈った。早くよくなってくれと。1人にさせない、もう絶対に1人にさせない!

医者は何か俺に説明していたようだが頭に入らなかった。

その後宇宙は点滴を受けて、しばらくしたあと家に帰ることが出来た。

熱は下がらなかったものの、免疫力が強いのか…点滴の力なのか…脱水症状は少し収まったらしい。

最後にこまめに水分補給をすることと言われた。

「母子手帳は持っていますか?」

待合室でそう聞かれ俺は再びドキリとした