「雪だあ!!!僕雪に触ってみた…」

『触ってみたい』と言いたかったんだろう。
言い切る前に宇宙は言葉を発するのを止めた。

俺の顔色を伺うように俺の顔をのぞき込む。
やめてくれ、まるで俺がお前から自由を奪ってるみたいに…。

……いや、実際には奪っているのだ
宇宙は雪に触ったことがない。

外に出したこと自体があまりないのだ。
誘拐したことがバレ、宇宙がどこかに連れていかれることを俺は凄く恐れていた。

運動不足にならないように体力作りは少しづつやり、勉強もきちんとやっている。

しかし…外で沢山遊ばせる方が子供にとっては1番の勉強なんじゃないだろうか。

「宇宙、ごめんな。」

「ううん、僕大丈夫だよ。家の方が楽しいもん」

「昨日話したこと覚えてるか?実はな、お前のおじいちゃんの家に引越すことになった」

「おじいちゃん?」

宇宙は俺の父親を知らない。
母親は何度も俺の家に来て宇宙の世話をしていたから母親の事は知っていたが父親はあったことがなかった。