「春樹の事情はわかったわ。でもね、春樹だけでこの、宇宙君を育てて行けると思っているの?」

「…」

母親は流石だ。まるで全ての子供を知り尽くしているかのように上手く宇宙を可愛がる。

母親は俺の事もお見通しだ。
さすが俺の母親だと…そう思う。

「厳しいけど…頑張るしか」

「子育てを甘く見ないで。春樹、貴方家に戻ってきなさい。」

「えっ…それは。」

「お金もかかるし、一緒に住んでいた方が助け合えるよ。昼間はお母さんが世話しててあげるから」

「勝手に子供を作ったこと反省してる。これは宇宙と俺の問題だと思うから。でも助けてもらうのは正直嬉しい」

母親は宇宙を抱き抱えたまま立ち上がりいつもの母親とは思えないほどの鋭い目付きをしていた。

「はぁ、わかったわ。家賃と生活費はいつも通り出すけど、宇宙君の養育費は春樹が全て負担するのよ」

「わかってる。」

「しっかり育てなさい」

そう言うと母親は宇宙を俺に引渡し、最後に宇宙の頭を撫でると、
「これ、ちゃんと食べるんだよ」と、大きな袋に指さし部屋を出ていった。