「彼女は今どこにいるか分からないんだ、母さん。電話番号も住所も変わってる」
「そんな…なにか手がかりがあるはずよ」
「いいんだ、俺は宇宙がいれば。それに彼女は言ったんだよ、この子供がいなければ良かったのにってね。彼女がそんな人だと思わなかった。離婚するのは嫌じゃない」
母親はいきなりのことで頭が追いつかないらしく深く考えるのをやめたのかメガネを外し目を少し揉み、
ソファに座ると宇宙をこちらにと促すように手を招いた。
俺のパーカーの紐を舐めていた宇宙を無理矢理剥がし、俺は母親に宇宙を預けた。
「可愛いわね…春樹に似てないわ」
「失礼だな、彼女がとても可愛いんだよ」
悪いことや事件に巻き込まれたことの無い俺を母親は誘拐したとは考えないだろう。
「大きいわねこの子。1歳かしら」
「ほんとに。俺もびっくりだよ」
びっくりしたのは母親にだ。
やはりバレてしまうのか…確かに0歳の子供と比べて遥かにでかい。
母親は戸籍まで調べないだろう…と願い1歳ということを否定せずに何も言わなかった。
2ヶ月前は0歳と1歳かわからないほど違いがないが、2ヶ月がたった今宇宙は倍に大きくなりもうハイハイができていた
それに宇宙は本当に頭のいい子だ。
俺の前でほとんど泣いたことがない。