自分の能力を理解するキッカケとなったのは、ひいお婆さんの死だった。


父方のひいお婆さんが死に、初めて人の死を知った。


いつもシワシワの手で僕を撫でてくれていたその人は灰になり、骨が残った。


火葬場でそれを見た僕は愕然としてしまった。


人は死ぬとこんなにも小さく、軽くなってしまうものなのだと突き付けられた。


親族はみんな悲しみで泣いていたけれど、僕は違った。


死ぬということへの絶望を体中に感じて、涙なんて出てこなかったんだ。


みんなが箸を使ってひいお婆さんの骨を集めている最中、僕は人の隙間から手を伸ばし、その骨を拾い上げたのだ。


これがひいお婆さんだったなんて信じられなくて、もしかして骨はプラスチックでできているオモチャなんじゃないかと思ったから。


右手に骨を乗せたその時だった。


僕の脳裏にひいお婆さんが出て来たのだ。