蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ

若竹さんの場合、これが一番重要なことだったからだ。


若竹さんは少しだけ眉間にシワを寄せているが、背筋は伸びたままだ。


それを確認して僕はまた口を開いた。


「ひき逃げ」


事情を説明していなかった柚木さんが、隣で「え……」と、小さく呟いた。


さすがに大きな声は控えたようで、僕は安堵する。


「そうです」


若竹さんの声が震えている。


「犯人はまだ捕まっていない。和男さんに犯人を見たかどうかを確認したい。間違いないですか?」


「そうです。そうです……」


若竹さんは目じりに涙を浮かべて何度も頷いた。


だからこそ、僕はこの依頼を受けたのだ。