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2階にある和男さんの部屋は本棚から本があふれ出ていた。


若竹さんが言っていた通り、仕事関係の本が所狭しと並んでいる。


「本屋が開けそうですね」


僕がそう言うと、若竹さんはクスリと笑って「そうでしょう? 本当に本が大好きだったの。時々そそっかしくてね、同じ本を買ってくることもあるのよ」と、目を細めて答えてくれた。


そう言われて本棚をよく確認してみると、確かに同じ本が2冊並んでいるものもある。


「これはなんですか?」


柚木さんがなにか部屋の隅に置かれている袋を指さしてそう言った。


それはあの本屋の袋だったのだけど、中には本がまだ入っているようだ。


しかも1つだけじゃない。


何個もそこに積まれている。