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それから少しした後、僕ら3人は駅前の本屋に立ち寄っていた。


「ここは和男が良く立ち寄っていた本屋なの」


若竹さんはそう言い、フラフラとビジネス関係の棚へと歩みを進める。


今回若竹さんが蘇らせたいのは、自分の息子。


和男という男性のことだった。


わが子を失ったショックで、老け込んでしまったようだ。


「あの子は仕事の本をよく買ってきていたわ。仕事が好きだったの」


そう言い、若竹さんは愛でるようにビジネス書の背表紙をなでた。


僕にはまだ難しい本ばかりで、タイトルを読むだけで頭痛がしてくる。


本棚から視線を外すと、まっすぐ奥にレジが見える。


この本屋は入口付近に1台と、奥に1台レジが設置されているようだ。