相変わらず彼女のペースに流されながらバスに揺られ、到着したのは隣街の駅だった。


「駅で待ち合わせ?」


「そうだよ」


「それなら近くの駅でよかったじゃん」


「相手の家がこっちの駅に近いんだよ」


返事をしながらも、柚木さんが一緒だから近場の駅で約束をできなかったんだと、心の中で毒づいた。


本当に、彼女は自分の立場を理解しない。


2人で他愛のない会話をしながら待っていると、それらしい女性が歩いてくるのが見えた。


黒色のスラックスに、涼し気な白いシャツ。


年齢は60代前半くらいらしいけれど、背筋が伸びていて若々しく見えた。


「はじめまして、蘇らせ屋の松谷です」