一瞬その意味が理解できなかったけれど、すぐにピンと来た。


柚木さんの性格から言うと『男装するから大丈夫』と、言いたいのだろう。


それがわかった瞬間僕は盛大なため息をはきだしていた。


柚木さんがここへ来てから、一体何度目となるため息だろうか。


「冗談はやめてくれ」


僕は頭をかいてそう言った。


「この顔が冗談言ってるように見える?」


そう言って柚木さんは僕の前に回り込んで、真剣そのものな顔を突き付けて来た。


急な至近距離に思わず後ずさりをする。


柚木さんは性格は難ありだけど、見た目だけはいい。


そんな彼女に近づかれると否が応でも心臓が飛び跳ねてしまう。


「絶対にバレる」


「バレないように気を付ける!」