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学校から大山山までは自転車で20分くらいの場所だった。


徒歩通学の僕は一旦家に戻り、車庫から自転車を出して走っていた。


日中の気温はグングン上昇し、4月とは思えないくらいの暑さが体を包み込む。


河川敷の葉桜を横に見て真っ直ぐ目的地へと向かう。


大山山に到着した頃にはすっかり息があがっていた。


肩で呼吸をしながらバス停のベンチに座って汗をぬぐう。


すぐ近くに山道があるが、問題の小屋がどこにあるのか僕は知らなかった。


自転車をこぎながらその事に気が付いたのだけれど、学校でも噂が広まっているくらいだからきっと行けばわかるだろうと、安易に構えていた。


しかし、ベンチに座ったまま大山山を見上げるとその大きさにため息が出た。


参道から外れたら遭難してしまう可能性もある。