翔平はこんな傲慢女のどこが好きだったんだろうか。


外見は申し分ないけれど、それを忘れてしまうほど我が強い。


『アツコを頼む』


そう言った翔平の気持ちを、柚木さんはきっとこの先も知る事はないのだろう。


柚木さんに翔平の気持ちを伝える気はないけれど、僕がここへ来る理由の1つになっていた。


「なにボーっとしてんの?」


「いや、なんでもない」


僕は左右に首を振り、メールの文面を読み上げて行く。


今回の依頼も柚木さんが好きそうなものだ。


事件解決できれば、きっと依頼者の憂いも晴れることだろう。


「よぉし! じゃあ今日の放課後さっそく行くよ!」


「はいはい」


仕方なく返事をしながらも、心が躍っている自分がいる。


無鉄砲で自分勝手な柚木さんと、地味でさえない僕のコンビはもうしばらく続きそうなのだった。








END