「柚木さんじゃなくて、お姉さんの方を……?」


そう呟くと、全身の血の気が引いていくのを感じた。


山の麓にいたということは、柚木さんのお姉さんは小屋から逃げて来たのかもしれない。


「でも、それじゃおかしい。柚木さんはお姉さんを追いかけて小屋へ行ったと言ってたんだ。逃げて来たのに、また戻る必要があるか?」


僕は混乱しそうになる頭でそう言った。


「遺体には切断しかけた跡があった」


翔平が小さな声で呟いた。


あ……。


僕の頭の中で辻褄があって行く。


柚木さんはあの日偶然山の麓を歩いていて、お姉さんを見つけた。


ガリガリにやせ細ったお姉さんを心配し、その後を追いかける。


小屋の中に入って行くと、すでに死んだ男2人がいる。


柚木さんの目の前で、お姉さんは2人の体を切断し始める。