蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ

なにもなくなった。


元々の生活に戻っただけなのに、そんな喪失感が体から力を奪っていく。


柚木さんは自分がここにいた形跡を少しでも無くして出て行った。


それは、僕が事件に巻き込まれないようにという配慮からだったのだろうか。


だとしたら、言ってやりたい。


僕は君に声をかけられたあの瞬間から、事件に深く関わっている1人だ。


今更いなくなられたって遅いし、嬉しくもないと。


でも、その文句を言う相手はもうここにはいない。


呆然と座り込んでいると、ポケットでスマホが震えた。


短く、1回。


毎日のニュースが更新された合図だった。


僕は軽く腰を上げてスマホを取り出した。