☆☆☆

正直お茶なんてどうでもよかった。


それより先に話を聞きたい。


「ぷはぁー! やっぱりお茶はおいしいね」


仕事帰りにビールを飲み干すサラリーマンのように柚木さんは言う。


その頬はほんのり赤く染まっていて、本当にアルコールを摂取したように見えた。


「ほら、潤も飲みなよ。私お手製のお茶だよ」


「さっき飲んだのと同じだろ」


文句を返しつつもお茶をひと口飲む。


うん、味も変化なしだ。


なにか特別変わった淹れ方をするのかと思っていたけれど、僕と寸分変わらぬ淹れ方だったんだから、当たり前だ。


「で、話しの続き」


「もう、せっかちだなぁ」


柚木さんは頬を膨らませて僕を見る。