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2年A組の教室の戸を開けると、真っ先に下重太陽(シモシゲ タイヨウ)が駆け寄って来た。


太陽と僕は中学からの仲で、良いときも悪いときも大抵一緒にいた。


「潤、聞いたか!?」


登校してきたばかりの僕の肩に腕を回して、いつもの調子で太陽はそう聞いてくる。


今教室に入ったばかりなのだから、なにも聞いていないに決まっている。


僕は一番後ろの自分の席に鞄を置き「なんのこと?」と、訊ねた。


太陽は目をキラキラと輝かせて「先週死んだハズの太郎の爺さんが蘇ったんだってよ!」と、教室中に響く声で言った。


僕はぼんやりとした顔で太陽を見つめる。


「なんだよお前。嘘だと思ってんだろ!?」


「う~ん。どうかな」


「本当なんだって! 太郎が見たって言ってんだから!」


太陽はそう言って僕の背中をバンバン叩く。


僕は曖昧な笑顔を浮かべて太陽を見た。