おかしい。


よく考えれば最初からおかしかったのだ。


人を殺したかもしれない柚木さんが僕に声をかけてきて、こんなにも明るいなんて。


それはきっと、なにか希望があるからだったんだ。


「へへっ……」


柚木さんは困ったように眉を下げ、口元だけで笑った。


「どうして僕だったんだ」


同じ質問を繰り返した。


もう騙されないぞ。


「……とにかく座ろうか。今度はあたしがお茶を入れるから」