柚木さんはそう言い、言葉を詰まらせて目元を押さえた。


お姉さんに収入があればもう大丈夫。


そう思っていたのだろう。


「私、お姉さんを見つけてすぐに追いかけたの。お姉さんはいくら呼んでも私に気が付かなかった。真っ直ぐ細い参道を上っていったの」


僕は柚木さんに内緒で言った大山山のことを思い出した。


古くなって使われなくなった山道。


きっと、あの道のことを言っているのだろう。


「あんなに細い体で、どうしてあんなに走れるんだろうって、正直ビックリした。

私は必死で後を追いかけて……ついた先が、あの小屋だったの」


そこまで言い、柚木さんは僕を見た。