柚木さんが、目だけをこちらへ動かして僕を見た。


「夢を見た……」


そう言う柚木さんの呼吸は乱れている。


相当怖い夢を見たのだろうか。


僕は布団の横にあぐらをかいて座った。


「私、あの日、お姉さんを見つけたの」


なにも聞かなくても、柚木さんはとつとつと話し始めた。


夢に見たことを辿るように、時々視線を泳がせながら。


「大山山の、麓で」


まだ、大山山か。


柚木さんが目を覚ましたのも大山山。


三浦さんが殺されたと言っていたのも大山山だった。