柚木さんの言葉に翔平は必死について行く。


「小屋って、大山山のあの事件のことか……?」


その質問は僕へ向けられていた。


僕はもう素直に頷くことしかできなかった。


本人がここまで説明してしまったのだから、どうしようもない。


「そんな、あの犯人がアツコなワケないだろ!」


目を見開き、声を大きくしてそう言う翔平。


柚木さんはその声に驚き「えっと……それは、私もそう思ってるけどさ、記憶がないから、一応ね」と、戸惑い気味に返事をした。


「記憶が戻って本当に柚木さんが犯人だったら、その時は僕がちゃんと警察に連れて行く」


そう言っても、翔平の耳には何も入って行っていない様子だった。