ハラハラしながら2人を見守っていると、不意に翔平が顔を上げた。


自分からぶつけたオデコが赤くなっている。


「こんな離れに2人きりで生活していて、何もないっていうのか」


その質問は僕へ向けられたものだった。


「何もないってば。本当に」


普通なら柚木さんみたいな美人ほっておかないんだろうけれど、僕は脅されて柚木さんと一緒にいることになったんだ。


とてもそんな気にはなれない。


「絶対に嘘だ」


翔平はそう言い、またテーブルに額を打ちつけた。


このままじゃいつか翔平の脳味噌が出てしまいそうで、不安になる。