「一体どうしたの」


柚木さんが三浦さんの服についたよごれを払い落としながらそう聞いた。


「アツコ……あたし……」


三浦さんが震える声を絞り出す。


やっぱり女同士の方が話しやすいこともあるんだろうか。

そう思い、僕は数歩後ずさりをした。


その時だった。



「やっと見つかったか」


翔平のそんな声が聞こえてきて僕らは振り向いた。


翔平と尾崎さんが息を切らしてこちらへ向かってきている。


三浦さんの表情が明らかに変化した。


柚木さんに言おうとしていた言葉も、完全に飲みこまれてしまったようだ。