まさか、そんな。


手のひらにジットリと汗がにじむ。


『蘇らせ屋』は死者と残された者との時間を繋ぐ。


その限られた時間の中でしっかりと憂いを晴らすのが仕事だ。


それなのに……それを逆手に取られた?


グズグズしている場合ではないと理解しているのに、体が動かない。


教室内で柚木さんのことを擁護していた翔平の姿が蘇ってきていた。


信じたくない気持ちが強くて、止めに入らなければならないとわかっているのに僕は目の前のコーヒーカップを見つめていた。


「ちょっと、あれ!」


次の瞬間柚木さんがそう叫んで窓の外を指さしていた。