元気がないならないで離れに置いて来てもよかったのだ。


そう気が付いたのはもう電車が到着したころだった。


外出は控えるようにと言いながら、自分がこんな風に柚木さんのことを心配して外へ誘う日が来るなんて思ってもいなかった。


自分の心情の変化に驚きつつ、2人で電車に乗り込んだ。


休日の電車内は人が少なく、どこでも好きな場所に座ることが出来る。


僕と柚木さんは2人かけのスペースに座り、窓の景色を眺めた。


「依頼者はどんな人?」


そう聞かれて僕はマナーモードにしているスマホを取り出した。


いつもならちゃんと依頼内容を確認してから行動に移すのに、今日は急だったこともありロクに確認してこなかった。


こんなことは蘇らせ屋をやりはじめて、初めての経験だった。


完全に自分のペースを崩されている。