「仲が良かったんじゃないのか?」


代わりに質問で返すと、柚木さんは「まぁ、仲は良かったけど」と、首をひねっている。


家を行き来するほどの仲ではなかったようだ。


その返答に安堵している自分がいて、驚いた。


僕はなにを心配していたんだろう。


「で、その結果家には誰もいなかったって」


僕は自分の気持ちを誤魔化すように早口でそう言った。


「そうだよ」


柚木さんは何でもない様子でそう言った。


でも、考えてみればおかしな話なのだ。


柚木さんがいなくなって数週間が経過しているのに、彼女の両親が動いている気配がないのだから。


「家の人はいまどこに?」