蘇らせ屋のボクとヒトゴロシのキミ

そう思っている僕をしり目に、柚木さんはロッカーの中に手を伸ばした。


ロッカーの上部は棚になっていて、バッグなどの小物が置けるスペースになっている。


そこに手を伸ばし、少し背伸びをして奥まで腕を突っ込んでいる。


「何も残ってないでしょ?」


飯田さんがそう言った時、柚木さんが動きを止めた。


チラリと僕へと視線を向ける。


「なにかあったのか?」


そう聞くと、柚木さんは指先に力を込めて何かを引っ張りだした。


「名刺……?」


飯田さんが後ろから覗き込んでそう呟く。


「名刺と栞です」


柚木さんの手の中には山本幸太郎と書かれた名刺と、花をラミネートして栞にしたものが握られていた。