婚約者に裏切られ、自殺され、ずっとずっと苦しんでいたはずだ。


それなのに真理さんは拓也さん以外の男と愛し合っていたなんて……。


やるせなくて、こぶしを握り締めた。


そんな僕を見て柚木さんは目をパチクリさせている。


「なんだよ」


またバカにされるのかと思って、声を低くする。


「別に。潤って意外と熱い男なんだなって思っただけ」


柚木さんはそう言い、笑顔を浮かべたのだった。