「それは僕もついて行かないとダメなのか?」


「もちろん! 誰がタクシー代を払うの?」


そう言われて、僕はギョッと目を見開いた。


「それって僕が払うワケ?」


「当たり前でしょ? 拓也さんも無事に事件が解決すればその費用は出してくれるって言ってるんだから、その間は自分で出すのが当たり前!」


柚木さんの考える『自分』とは僕のことになってしまうようだ。


まぁ、柚木さんは逃亡中の身でお金がないのだから仕方がないけれど、納得はできなかった。


「さぁ、行くよ。まずは職場を確認して、それからこの人を探すの!」


タクシーに乗り込んだ柚木さんはズボンのポケットから写真を1枚取り出してそう言った。


それは家を出る前に拓也さんが渡してくれたものだった。


以前、真理さんがストーカー被害に遭っていると相談を受けた時、拓也さんは独自に探偵を雇って相手のことを調べていたそうだ。