外は雲1つない日本晴れ。


しかし僕の心は正反対だった。


柚木さんのせいで心の中は豪雨と化している。


そんなことお構いなしに、当の柚木さんはやる気満々で僕の前をズンズン歩いて行く。


「上機嫌だね」


僕はその背中へ向けて嫌味を吐きかけた。


「そうだね!」


だけど嫌味なんて柚木さんに通じるはずもなく、いたって元気な返事があった。


僕はため息を吐き出して、いっそこのまま帰ってしまおうかと考える。


柚木さん1人でもどうにかなりそうだし。


そう思っていても、そう簡単に解放してくれるはずもなかった。


「とにかく、今から真理さんの行ってたデパートに向かうよ!」


そう言って流しているタクシーを拾うために手を上げる柚木さん。