愛する者からの拒絶を受け入れたくない気持ちはよくわかる。


けれどこの瞬間に、拓也さんからとても僕はペテン師に成り下がってしまったのだ。


「……役に立てなくてごめんなさい」


僕はそう言い、ドアに手をかけた。


これ以上ここにいれば2人の怒りを悪化させるだけだ。


「ちょっと、もう帰るの?」


柚木さんが僕の腕を掴んでそう聞いて来た。


「当たり前だ。依頼者の気持ちに答えることができなかったんだぞ」


僕は彼女をにらみつけてそう返した。


頼むからこれ以上この場をかき乱さないでくれ。


「真理さんが出てこないなら、私たちは自殺の真相を調べたらいいじゃん!」


全くコイツはなにを言い出すんだ。


「僕らは探偵じゃない」