重たい空気が室内に流れる。


真理さんの母親は何も言わず僕を睨み付けている。


真理さんを蘇らせることができない僕は、母親にとってただのペテン師に成り下がったはずだ。


「真理がそんなことを言ったのか」


「そうです」


僕は極力少ない単語で返事をした。


真理さんの母親は一刻も早く僕に出て行ってほしいはずだ。


「これ以上、僕にできることはなにもありません。死者が望まないのなら、僕の役目は終わりです」


僕は小さな声でそう言い、席を立った。


「真理がそんなこと言うハズがない! 僕らは愛し合っていたんだ!」


拓也さんが声を荒げてそう言った。


その言葉は矢となって僕の胸に突き刺さる。