これで相手が納得することなんてない。


激怒して、うそつき呼ばわりされて、傷ついて……。


だけど、相手の傷のようがきっとよほど深いのだ。


僕はそれを何度もみてきかたら、ひたすら我慢することしかできなかった。


「ふざけるな!!」


「拓也さん、落ち着いて」


頭をかきむしる拓也さんを、真理さんの母親がなだめている。


しかし、母親の表情も険しい。


「今回は真理さんから伝言を言付かってきました」


「伝言だと……?」


「はい。真理さんは『あの人に伝えてください。私はあなたには相応しくない女だったと』そう言ってました」


僕は言われたことをそのまま伝えるしかできない。


それを信用するかどうかも、依頼者に任せるしかできないのだ。