目を開けると眩しさにチカチカした。


手の中に握られている骨はすでに熱を失っている。


真理さんは戻ってこなかった……。


「真理は!?」


拓也さんの声にハッとして顔を上げる。


期待に満ちた拓也さんに申し訳なさが込み上げて来る。


「すみません。交渉を失敗しました」


僕はうなだれてそう言った。


「失敗……?」


真理さんの母親が唖然とした表情を浮かべている。


僕はそっと腰を浮かし、骨壺へと骨を戻した。


さっきまで僕が握りしめていた真理さんの欠片は、すぐに他の骨と混ざってわからなくなった。