真理さんの母親に案内されて客室へと通される。


そこは12畳ほどの広さがあり、白を基調とした洋風な部屋になっていた。


猫足のテーブルの上には箱に入れられた骨壺が準備されている。


僕と柚さんはクリーム色のソファに並んで座った。


「ちょっと待っててね」


そう言われて真理さんの母親は客室を出て行き、3人の間に静かな時間が流れ始める。


「あの、座らないんですか?」


拓也さんへそう聞いたのは柚木さんだった。


拓也さんは客室のドアの前に立ったままだ。


「あぁ、僕はいいんだ。真理に会えるかもしれないと思うと、座っていられなくて」


そう言えばさっきから落ち着かない様子で指先を絡ませたり、開いたりしている。


しばらく待っていると真理さんの母親が紅茶を持って戻ってきてくれた。


高級そうなカップに注がれた紅茶は、とってもいい香りがしている。