「外で会った事も何度かあります。でも、年の差も随分あるし、私が高校を卒業するまでは付き合うのはやめようって言われて……」


そう言うアンリの声が小さくなっていく。


「それで、ひき逃げを?」


僕は最低のタイミングでそう聞いてしまった。


さっきから驚きっぱなしで頭がこんがらがっていたのだ。


アンリに睨まれ、柚木さんからは肘鉄をくらった。


「あなたは犯人じゃない。だって、車の運転なんてしないもんね?」


柚木さんが、僕には向けたことのないような優しい声で話しかける。


「私があの人を殺すハズがない。あの人は大人だし、私のことを考えたからこそ卒業するまで待つと言ってくれたんです」


あぁ、そうだったのか。


浅はか自分の言動に落ち込んでしまう。