運転しているのは50代くらいの男性だ。


これから出勤だろうか。


こんなところにいたら怪しまれるかもしれない。


そう思っていたが、停車しても中から人が出て来る気配がない。


エンジンもかけっぱなしだ。


「迎えっていう選択肢もあるよね」


柚木さんの目が鋭く光る。


「和男さんが庇っているのは紛れもなくあの子だと思う。だけど、ひき逃げをした犯人は――」


柚木さんがそこまで言った時、従業員入口が開き、私服に着替えた少女が出て来た。


「こんにちは、少し話をいいですか?」


柚木さんは彼女の前に立ち、そう言ったのだった。