それなら和男さんの意思を尊重させればいいじゃないか。


和男さんが隠していたって、警察が犯人を見つけるかもしれない。


そうなれば、若竹さんの気持ちも落ち着くだろう。


「柚木さんが余計なことを言ってしまい、申し訳ございません」


今日はもう帰ろう。


そう思って挨拶をしようとしたのに……。


「なに言ってんの? 事実を言っただけじゃん」


また、こいつは……!


若竹さんが泣いている姿が見ないのだろうか。


どうしてひきずろうとするんだ。


「行こう。犯人を捜しに」


「はぁ!?」


僕は若竹さんの背中をさすることも忘れ、大きな声でそう言っていた。