身勝手な事ばかり言ってきて僕を困らせているくせに、こんな笑顔もできるんだ。


僕は気を取り直すように軽く咳払いをして、仏間の窓を見た。


カーテンが少し開いていて、そこから中の様子が見える。


話はうまく進んでいるだろうか。


それが気になり、つい覗き込んでしまった。


その瞬間、向かい合って座る若竹さんと和男さんの真剣な表情が見えた。


ここから見ただけでも、2人が険悪なムードになっていることがわかってしまうくらいだ。


「あの2人、何を話してるんだろ?」


僕の隣で柚木さんがそう言った。


「わからない。でも、あまりよくなさそうだな」


僕はそう呟いて顎をさすった。