「茶化さなくていいから、話を聞かせてくれる?」


あんな場所で、あんな風に衝撃的なことをカミンアウトされた僕は、柚木さんを無視して帰るわけにもいかず、こうして家に呼んでいた。


「ところで、この離れって全室潤の部屋として使ってるんだよね? すごいなぁ、離れがある家なんて初めて見たよ」


「古臭い家で悪かったな。話を逸らすなって」


僕は少しムッとして柚木さんを睨んだ。


彼女は自分から話かけてきたくせに、いざ話を聞こうとするとこうしてのらりくらりと交わしているのだ。


『人を殺したかも』


なんてあまりにも物騒な話だし、首を突っ込みたくはない。


けれど、今日は学校を休んでいるしあまり面識のない僕に話しかけるくらい、彼女は切羽詰っているのだ。